Y氏の空中散歩そして覚悟-2
こんにちは、法人満足室の義夫です。
今日は後編、2回目の覚悟のお話です。
それはいつも飛んでいる尾上岳から
他のエリアに遠征した時に起こりました。
フライトも回数を重ね、自信がついて来た頃でした。
◆愛機、キュムラスと。(う~んまだ若い・・・)
飛べるかどうかギリギリの強い風の日でしたが、
行けると判断し、出ました。初めてのエリアで、
コンディションも悪く、慎重であるべきなのに、
危険な状況に身を置く「覚悟」が軽くなって
しまっていたのでしょう。
ところが想定以上に強い向い風で、機体が前に進みません。
向かい風の風速で、地面に対する速度が相殺されて
しまうのです。
コントロールバーを目一杯引き、対気速度を上げて
じりじりと着陸場所を目指していたその時、
突風に煽られ、物凄い力で右翼が持ち上げられました。
グラッと機体が傾きます!!!
下が偶然撮影されていたその時の写真です。
写真が小さいため分り辛いですがフットバーから足が外れて
ばらけてしまい、コントロールの効果は半減です。右手は
通常持たないコントロールバーの上の方に手をかけ、なんとか
右側の翼を下げよう、水平に抑え込もうとしているのですが、
もう手遅れです。この後、急旋回に入ってしまいます。
◆ヤバい!
目の前を物凄い勢いで地面が流れていきます。
体勢を立て直すには全く高度が足りず、
パラシュートを投げようにも機体を抑え込む為に
手が離せません。
一言、お手上げ、万事休す、打つ手なし・・・
覚悟しました、もう最悪の結果は避けられないと・・・
どんどん高度を失い、地面が近づく中で、このスピードで
地面にぶつかって、骨折で済むかな!?などと
考えていました・・・
だが、しかし、万策尽きても、運はまだ尽きていませんでした!!!
キリモミ旋回を続ける中、地面すれすれでちょうど
今日自分を苦しめた強い風を正面から受ける形に
なったのです!
強い向かい風を受け、地面に対する速度は急激に
減ります。急ブレーキです。
そして更に幸運が!
ノーコン状態で落下しつつある行先は、水を張って田植えを
終わったばかりのやわらかい田んぼでした。
「ヤベ、これ田んぼ荒らしちゃう・・・」とは思いましたが
どだい、ノーコン状態なのですから、どうしようもありません。
緑の稲が視界一杯に広がって、キラキラ光る水面へ
そのままヘッドスライディングです。
ベシャーーーーーーーーーー
頭からかぶった日射しに暖められた生暖かい田んぼの水が
生きている実感に繋がりました。助かった!
◆泥だらけのハーネスを脱いでいます。この後、田んぼの持ち主に
謝りに行ったら、逆にお風呂と下着をいただきました(^^;
このトラブルの後、何回かは飛びましたが、自然と離れて
しまいました。怖くなってしまったというのが本音です。
ただ、これまでの人生の中で、この覚悟の経験は生きています。
ちょっと困ったなぁ~と思っても「あれにくらべれば、こんな
ことは大したことでは無い!」と。